【コイン会議2】プロの投資家が気になる、仮想通貨の取引所とは?(前編)

——GW後から価格も下がって、年末に向けてどのように仕込んでいこうかという相場ですね。今回は、仮想通貨の売買で欠かせない取引所の使い方について、投資家の指針さん、プロトレーダーのエスケーさんにお話をお聞きしたいと思います。
まず、取引所といえば、コインチェック社がマネックスグループの子会社となり、心機一転で活動を再開しましたね。
指針:マネックスグループに関しては「他を出し抜いてうまくやった」という印象ですね。
もしかすると、金融庁主導、麻生さん主導ということでの買収だったのかな、とも感じてしまいます。金融庁にとってコントロールしやすい企業が買収することで、よくわからない企業の傘下に入るよりはマシ、という考えがあったのかもしれません。
エスケー:マネックスが上場企業だから、というのは大きいよね。資本金も大きいし、すでに実績もある。この買収によって、これから良いサービスができるかはわからないけれど、投資家としては、コインチェックの信用は上がったかな。東証一部企業として厳しい審査を受けて上場している企業の子会社となったことは、そういう意味でもメリットがある。全面的な信頼はできないけれど、上場した資本が入っているというのは大きいと思う。
指針:マネックスからすれば、かなりいい買収。自分たちの本業より儲けている企業を、36億円という、自分たちの時価総額の30分の1くらいで買収できたわけですからね。基本的な流れとしては、仮想通貨市場は大きくなっているので、去年のように営業利益600億円は無理だとしても、まだまだ稼げる会社です。とてもいい買い物ですよね。
マネックス傘下で、魅力のある取引所になれるか?
エスケー:気になるのは、コインチェックがグレーな部分で稼いでいた部分が、マネックスが入ったことでどうなるかだよね。自分は為替のFX業者を立ち上げようとした経験があるから内情についていろいろ知っているけれど…。上場企業に課せられる正攻法のやり方を続けながら、「利益の追求」「信頼性の高いシステムの構築」「ユーザーにとってメリットがあるサービス」のバランスを取ることは、ものすごく難しいと思う。
金融業というのは、「違法すれすれなことをやればやるほど儲かる」業界だから、基本的にはどこも怪しい。ギリギリの範囲でお金を守って、いいサービスをしてほしいよね。
bitFlyerのような業界1位のようなところも、裏では何をやっているのか怪しいし、そういうことをやらなかったら割に合わないという側面もある。リスクが非常に大きい市場だから、どれだけグレーなところを攻められるかが、取引所経営のポイント。仮想通貨は、どこの業者も信用できない。一番マシなところをうまく探せるか、というのがユーザーにとって大前提だと思う。
——マネックスがコインチェックを買収して、また取引所の勢力図が変わってくるかと思いますが、お2人は国内の取引所をどのように活用されていますか?
エスケー:個人的には、結構な割合で撤退しちゃっていますね。BinanceやHuobiのように、板が厚くユーザーから支持を得ている海外の取引所を使い始めると、個人的に使う意味がなくなってきてしまったということもあります。
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仮想通貨のFXは、やるべき? やらないべき?
指針:海外の取引所を一度使ってみると、国内の取引所と比較して圧倒的にコストが安いんですよね。また、国内で取り扱いのあるアルトコインが上がっているかというと、上がっていないという状況があります。ですから、あえて国内取引所を利用する意味というのが感じられなくなってしまうんです。ただ、FXに関しては、コインチェックのシステムは利用しやすかったので今でも復活を待っています。
——指針さんは、FXについてはbitFlyerを利用されていますよね。
指針:エスケーさんのいう通り、取引所を信用しすぎるのは危険だと思います。例えば、高いレバレッジで取引できるbitMEXも、稀によくわからない動きをすることがあります。また、bitFlyerはSFDによる注文調整を導入していて、それがクレームに繋がっています。
こうした取引所のマイナスな部分というのは、個人的には手数料かなと思っていて「それ以上勝てばいいや」という感じで使い続けています。bitFlyerのFXは、国内の取引所としては板の厚みがあって、そこそこのロットでうまく動かせますし、アプリが便利なので使っています。
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エスケー:レバレッジ(倍率)はどのくらいでやっているの?
指針:レバレッジはいつも7〜8倍に設定して、証拠金維持率が200%を割らないようにしています。ベースは維持率500〜600%で動かしていて、買い下がるときでも200%まで。150%までは持っていかないようにしています。
——エスケーさんは、FXはやらないと公言されていますね。
エスケー:前にも言ったかもしれないけれど、仮想通貨のFXはやらないことにしている。外国為替では400倍くらいまでやったことがあるんだけど、仮想通貨の場合は、変な値動きが多くて信用ができないんだよね。
以前やってみたときに、瞬間的な値動きでロスカットされた経験があって、それ以降は手を出していない。基本的に取扱業者を信用できないので、スプレッドが開いたり、嘘の値段でロスカットをされたりする懸念が捨てきれない。
——ちなみにですが、為替ではどの程度のレバレッジでやっていたんですか?
エスケー:為替の方は、最近は10倍くらい。レバレッジ取引は、少ない資金で一発逆転したい人には必要なツールだとは思うけれど、トレードで10年間くらい生活をしている人間は慎重で、勝負をかけるときだけ大胆になるもの。レバレッジ取引のような高いリスクの取引は、日常的には行わないものだと思っているんだよね。
指針:韓国では、仮想通貨取引の取り締まりを強化していますね。これに合わせて相場も乱高下しました。これだけ変動するということは投機としては面白いですよね。
エスケー:逆に言えば、これだけ動くからこそ、レバレッジをかける必要ないっていう考え方もある。為替相場とは比べ物にならないボラティリティがあるから、レバレッジをかけなくても少額で利益が出しやすい。
指針:確かにそうですね。個人的にレバレッジ取引は、わからない部分も多いので、配分する資産は全体の1%程度、遊び感覚の資金で行って、危なくなったら「保険ショート」でヘッジをかけるということをやっていますね。
現在は非常にボラティリティが高い市場になっていますが、プロの視点に立つと、「本気の人(=プロ)が少なく、素人の草刈り場になっている」といった状況です。Twitterでも、昨年の爆上げで「億り人になった!」と自慢していながら、今年になってから消えているという人が何人もいます。
強制ロスカットの勝負を本気でやるのは、絶対にNGです。相場がどのように動くかわからないのに、そこに全力をかけるのはリスクとリターンが合っていません。現物を保有しているのであれば、何かしらは残るので復活のチャンスはありますけれど、FXでやってしまうとゲームオーバーです。
——次回に続く
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