マルタのスタートアップに聞いた「仮想通貨島」の裏事情

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「マルタでは、2018年にVFAA(Virtual Financial Asset Act、仮想資産法)が成立し、世界で初めて本格的な規制が行われています。現在、ブロックチェーン・スタートアップの間では、マルタで認可を得ることが大きな目標となっています」

そう語るのは、マルタでブロックチェーンによる投資プラットフォーム「BELEGA」の立ち上げに参加している、イギリス人エンジニアのA氏。
マルタは、BinanceやOKExなどの「超大手取引所」が拠点を持ち、世界中の暗号資産トレーダーが利用していることから「仮想通貨島」としても知られています。
そのため、「マルタは暗号資産の規制が緩い」というイメージを持つ方も少なくないかもしれません。
A氏に、現地のブロックチェーン・スタートアップの立ち上げについて話を聞きました。

「仮想通貨島」マルタとは?

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マルタは、イタリアのシチリア島のすぐ南に浮かぶ小さな島国。面積は316㎢で、東京23区の半分程度の広さと言われています。いわゆる「ミニ国家」としてEUに加盟しており、法定通貨はユーロです。
また、元々はイギリス連邦の一部だった歴史を持つため、自動車は左側通行で、日本の中古車が多く輸入されているようです。

面積も小さく目立った鉱物資源はないものの、欧州、アフリカ、中東を結ぶ航路の真ん中に位置しているため、インド洋からスエズ運河を超えた船を受け入れる石炭貿易の重要拠点として発達。アジアから調達された多くの資源が集まり、19世紀後半から造船業や金融業により目覚ましい発展を遂げました。
しかし、大型船などが開発されると中継拠点としての需要は伸び悩み、現在は法人税を格安にすることで、タックス・ヘイブンの地として多数の海外企業を誘致し、高い経済水準を保っています。
最近では、BinanceやOKExなどの超大手の暗号資産取引所も拠点を移しており、ブロックチェーン・スタートアップが多数進出していることでも知られています。

マルタでは、2018年11月には世界で初めての本格的な暗号資産法であるVFAA」が成立し、ICOの定義付けがなされ、規制をもとにしたICOが合法化されています。
さらに6月には、同政府が「賃貸契約のブロックチェーン管理の義務化」を決定するなど、ブロックチェーン技術を積極的に活用しており、世界中の投資家からも注目されています。

ブロックチェーン企業から見た「マルタの魅力」

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A氏がシステム開発者として参加するブロックチェーン投資プラットフォーム「BELEGA」は、ブロックチェーンを活用した「クラウドファンディング・プラットフォーム」として開発を進めています。

「私たちの場合は、テック系の有名投資家たちが集まって開発を始めた投資プラットフォームです。プラットフォームのサービス対価として独自ユーティリティトークンを使ったトークンエコノミーを採用しているため、VFAへのレギュレーション登録を目指しています」

マルタでは、VFAAによる規制のもと、暗号資産取引所に対するレギュレーションである「VFA Service Provider(VFA SP)」や、ICO活動に対するレギュレーションである「Initial Offering of a Virtual Financial Asset(IVFAO)」などが定められています。
BELEGA」の目標であるVFA登録とは、VFAAの規制のもと、基準に則った資金調達を行うレギュレーションのことを指します。
ブロックチェーン関連企業は、このVFAAの規制もと、マルタ金融サービス局(Malta Financial Services Authority、MFSA)によって、事業内容に応じたレギュレーションに則した登録を行った上で、初めて正式な営業活動をすることができるのです。

A氏たちが開発を進めるBELEGAの場合、投資プラットフォームということもあり、金融畑出身のアドバイザーによる助言のもと、しっかりとしたサービスを提供するため、法規制がしっかりとしたマルタを拠点に選んだと言います。

「私たちのプロジェクトでは、投資経験豊富な経営陣が厳選した企業のプロジェクトを紹介し、クラウドファンディングとして暗号資産による投資を行えるサービスを提供する予定です。日本では金商法のもと認可を受けた企業だけが証券を扱えますが、VFAのレギュレーション登録を得ることで、投資家の方々に安心してサービスを利用していただきたいと考えているのです」(A氏)

BELEGAでは、この厳しい規制がされているマルタで正式な認可を受けることで、より安心できる暗号資産サービスとして展開していく方針を掲げています。

暗号資産に関する厳しい規制が敷かれたマルタで認可を得ることは、ブロックチェーン・スタートアップの登竜門となりつつある、と言えるかもしれません。

VFAA取得に奮闘するスタートアップの実情

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現在、BELEGAでは、マルタでVFAの登録を目指し、現地の弁護士事務所と連携して手続きを進行中です。

「マルタは規制が緩いと思われがちですが、実はVFA登録への非常にハードルが高く、各社が対応に追われているのが実情です。
例えば、MFSAはVFA関連の申請を請け負う法律事務所に対し『VFAエージェント』という認可制度を設けていますが、こちらもライセンス取得できた法律事務所はごくわずかです」(A氏)

コインテレグラフによると、今年4月にVFAエージェントに認定された法律事務所はわずか14社。250社に及ぶ企業が申請を提出していたと言われていますが、その60%は書類選考ではじかれており、審査手続きまで進むことができなかった、と報道されています。
マルタは、10数年前にiGamingとオンラインカジノを規制するレギュレーションを作り、多くの企業誘致に成功するなど、“ITとお金”の分野で世界に先行しています。
実質的にICOが禁止されている日本とは違い、マルタはICOによる資金調達に対して比較的ポジティブなルールが敷かれています。その一方で、レギュレーション登録へのハードルは、世界的に見ても厳しいのが実情だと言います。

「マルタでは、ICOに対するルールができたとあって、昨年は多くのICO企業が集まりました。しかし、MFSAは既存の金融ライセンスと同レベルの高い基準を設定しており、金融経験のないスタートアップ企業の場合、ライセンスを取得することはほぼ不可能だと言えます」

A氏によると、昨年マルタに集まった企業の多くが、エストニアなどのルールが簡易な国に移ったと言います。

「ルールが簡易ということは、世界的な信用を得ることができない、ということでもあります。私たちのプロジェクトでは世界的にも信頼性の高い案件を紹介する投資プラットフォームを構築することを予定しています。そのため、金融業界での経験が豊富な経営陣とともに、この厳しいレギュレーションをクリアすることを第一の目標としているのです」(A氏)

VFAAの登録が完了することで、A氏の所属するBELEGAに、どのような展開が待っているのでしょうか。
マルタから彼らのようなスタートアップが世界に展開し始めた時、マルタが「真の暗号資産島」となるかもしれません。


【取材協力】

belega ロゴ 
BELEGA.io マルタ発の投資プラットフォームプロジェクト(英語サイト)
日本語での詳しい情報はこちらから(テレグラム情報交換コミュ日本語版


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