【超訳】チャールズ・ホスキンソン氏、基調講演2019年6月10日-ほぼ全訳

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6月10日、カルダノ(Cardano, ADA)関連サービス開発を手がけるエマーゴ(EMURGO)が、都内で支援者向けイベント「Cardano Blockchain Tokyo」を開催しました。
このイベントで登壇した、カルダノ創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏のキーノートを日本語訳にてお送りします!

(以下、ホスキンソン氏講演和訳です)

ホスキンソン氏講演

2017年9月から始まったカルダノ2周年となり、驚くほど様々な変化が起こりました。当初はウォレットがうまく機能するか、取引所への上場ができるかといった課題に取り組んでいましたが、今このイベントでは、ペイメントシステムやサプライチェーンシステムなどを開発する人々が来られています。
先日はモンゴルで大統領とお会いしてきましたし、この後はジョージアで首相とお会いする予定です。この2年間で大きな変化があったことを実感しています。

しかし、変わっていないこともあります。それは強い信頼で結ばれた皆さんやコミュニティの方々です。特にそれを感じるのは日本です。

私はこれからジョージア、イスラエル、バージニア、ウガンダ(ウガンダでは人生で初めて国王にお会いします)、韓国などの国々を巡りますが、特に日本に来ることをいつも楽しみにしています。カルダノにとって、特に日本は最も素晴らしいコミュニティがあります。

人々の問題解決がブロックチェーンの本質

2015年、私たちは「ベンチャーの科学者たちを雇う予算をとって、どこまでイノベーションを起こすことができるか試してみよう。五年間でどこまでできるか試してみよう」と意欲を燃やしました。

40以上の論文を発表し、3回もコードを書き直し、膨大な量の仕事をしていく中で、「どのようなスケールシステムにするべきか」や「信頼できるシステムをどう構築するか」といったことを考えてきました。その中で、何も変わらないのは、「人々の役に立つものをつくろう」ということでした。役に立つもので開ければ、これほどの労力をかけることはできなかったでしょう。

モンゴルでは、「暗号資産のウォレットのアカウントモデルではなく、UTXでやってほしい」といったような会話ではありません。「薬の表示が18%間違っていたり、偽装されていたり、使用期限が過ぎて行ったりという問題があるんです」といった相談を受けるわけです。

エチオピアでは、「ビザンチン問題に対抗できるブロックチェーンで高速な決済できるものを作ってくれ」ということは相談されません。「電力料金の支払いに3時間以上もかかってしまうので、これを解決してくれないか」と相談されます。

テック企業では、「POW」や「POS」や「ステーキング」といったバズフレーズばかりが独り立ちしてしまい、「それを実際に使う人々」のことを忘れてしまいがちです。彼らの問題を解決・改善できるかどうか、ということが最も大切なのです。

問題解決の手段というのは、ソリューションというのは、例えば徒歩、自転車や車などのように、天候や移動距離、体調によって使い分けられます。暗号通貨市場でも同じように、その設計思想や問題解決手段はまさに千差万別です。それぞれが、特定の問題に対しての問題解決ができます。

ハイパーレッジャーファブリックであったり、EOSといったものがありますが、どうしても中央集権的になりがちです。

他のシステムは非中央集権を目指していますが、それには代償があります。非中央集権的なシステムを運営するにあたっては、そのシステムがどのような思想で構築されたのか、どのような代償を私たちが払うのか、ということを明確にする必要があるのです。

「現状の最善策」が未来をつくる

なぜ、私たちがこれほど「アカデミック」であることにこだわっているかというと、「未来は決してわからない」ためであり、「その未来に至る道は非常に多岐にわたる」ためです。

未来がわからなければ、その選択肢を選ぶことは非常に難しい。選択をするためには、そこにどのようなトレードオフがあるか、他にどのような選択肢があるのかを知らなくてはいけません。

車を運転する代わりに、徒歩や自転車での移動を考えることができるのです。

私たちがこれほどの労力や時間をかけて研究を続けている理由は、これらを明確にするためです。どのようなメリットのために何を犠牲にしているのか。プライバシー保護のために、何が犠牲になるのか。特定のレギュレーションを変えることで、どのような影響が起こりうるのか。バックエンドから資金が流出するということを防止できるのか。

シンプルなコンセプトではありますが、これは時間がかかる作業です。

カルダノによって、真の非中央集権化が始まる

これは私自身にとってだけの問題ではなく、皆さんにとっても大切なことです。

カルダノは真の暗号通貨であり、真の非中央集権型のエコシステムです。カルダノは、私が取り仕切るプロジェクトではありません。皆さんが取り仕切るものです。皆さん一人ひとりが、様々な事実・情報から決めていくことになります。これから間も無く、プロトコルは非中央集権に近づいていきます。テストネットはこの2週間ほどで開始され、予定されたベータ版へ移行します。

そうすれば、皆さんがネットワークを運営していくことになります。運営は皆さんの手に渡り、私ではなく、皆さんがカルダノの意思決定をする番になるのです。
そこで気をつけていただきたいのは、皆さん全体で、どこに行くべき、あ上に行くのか下に行くのか、右か左か、どのような技術的な決定が行われなくてはいけません。そのためには、すべての人が見られる、同一で正確な情報ソースを参照することが最低限必須な条件となります。そのためにリリースしたのが、ブロックチェーンの正確な情報を見ることができる「Seiza」です。

例えばFATFやG20では、暗号通貨のトランザクションのメタデータを構築するべきだ、という議論がされていました。これはどういうことかというと、「すべての暗号通貨の取引に対して現実世界の個人情報が紐づけられなくてはいけない」と考えている人がいるということです。

皆さんは、それは「良い考え」だと思いますか?
これは私がどう考えるかというより、皆さんがどう考えるかによって決まります。

このようなときに、どのようにして意思決定を行うべきでしょうか。どのようにして「正しい決定」「悪い決定」を見分けることができるでしょうか。それには、同じ条件で検討することが必要です。だからこそ、私たちは非常に慎重に開発を進めているのです。

これは、今だけの問題ではなく、10年後の問題でもあるのです。どういうことかというと、皆さんの子供やお孫さんが、このシステムの影響を受けることになるかもしれないのです。

だからこそ、方法論的なアプローチが必要になってくるのです。

カルダノは「みんなで運営されるプロジェクト」

カルダノの次のフェーズについてお話しすると、テストネットはもうすぐローンチし、次のバージョンであるシェリー(Shelley)もローンチ間近です。それからすぐにゴーガン(Goguen)へと移行予定で、バショー(芭蕉)へと続きます。私たちは美しいソフトウェアを皆と構築し、これからタフなチョイスが待ち構えています。
だからこそ、私たちはエマーゴがあり、カルダノ財団があり、コミュニティ運営を行ってきたのです。
だからこそ、私は世界中を周り、この五年間で私は52カ国をまわり、非常に多くの人々と会って話をしてきたのです。

その中で非常に驚かされたのが、人々が暗号通貨に非常に熱狂していたことでした。

ルワンダに行った際には、ある17歳の少年が「僕は暗闘通貨ファンで、どのようにしてPoSを構築するのか教えてください」と質問してきたことを強く覚えています。
ルワンダでは、1994年に歴史的な虐殺が行われた国であり、そのような地域で、インターネットで独学でブロックチェーンを学んだ少年がいるということは、非常に驚くべき出来事でした。

この業界におけるスケールの大きさを思い知らされるのは、人々の隠された力です。私たちがIOHKを始めた時は、ジェレミーと私だけの2人でした。そして今は、200人となっています。カルダノのエコシステムにおいては、数千人になっています。もしかすると、来年にはIOHKは2倍に、コミュニティは100万人に達するかもしれません。このエコシステムを構築できるほどの力は私一人にはありません。

これこそ、「人々が集まったからこその力」だと言えます。

エチオピアでは、23人の女性たちに対して育成プログラムを行いました。この育成プログラムは、カルダノ独自のプログラミング言語「ハスケル」を学ぶコースで、開発者のフィリップ・ワドラーが教鞭を執っていました。

もともとハスケルには、カルダノのスマート・コントラクト「プルータス」におけるいくつかの問題があったのですが、なんと、この問題の解決法をこのコースの卒業生が見つけた、という出来事がありました。

ハスケルは、60歳の経験豊富な、何百枚もの論文で引用がされる論文を書いた業界の偉人であるワドラー氏が開発したものですが、プログラミングを学んだばかりの21歳のエチオピア人の女の子が、彼のミスを指摘したことで、長年の問題が解決してしまったのです。

もちろん、彼女を雇用しました(笑)。とても優秀な女性で、料金の支払いなどにかかる問題解決のために尽力しています。

カルダノでは、いろいろな層において問題解決をすることができます。一部ではカルダノ・ブロックチェーンで解決できるかもしれないし、物によってはプライベート・チェーンを活用することがあるかもしれません。そのように、全てのレイヤーでコミュニケーションをとることで、多くの問題が解決できるのではないでしょうか。

このようなストーリーがカルダノにはよくあり、こうしたことを聞くことが私の喜びでもあります。

カルダノは「第2ステージ」へ

本日、フランク・ロイド・ライトが建設し、アインシュタインも滞在したという帝国ホテル本館を訪ね、そこで展示されていた17世紀の日本刀を拝見しました。

日本刀は非常に驚くべきエンジニアリングで構築されており、私たちの仕事を話す上で最適なものだと思っています。日本刀は素晴らしいものですが、決して一人で作られるものではありません。制作の各工程には何人もの人が携わり試行錯誤が繰り広げられて、鉄を鍛錬した人から始まり、最終的には研ぎ師によって仕上げられます。

ブロックチェーン・ソリューションもまさに同様です。

エチオピアで料金決済の話にしてもそうですが、この問題解決には、複数の政府機関の人々に会い、現金のデジタル化、ペイメントシステムの構築、モバイル決済への対応、通貨発行システムの構築、tangemカードなどの仕組み、それ以上に私が想像できないことがまだまだ必要となってくると考えられます。

そのために、私たちは最初に日本にやってきたのです。日本には「最高のものを作り上げるには時間が必要だ」という共通認識があると感じています。

カルダノは第1ステージを終了し、リアルなビジネスやリアルな人々が実際の問題解決に向かってソリューションを構築できるステージへと移行します。

現在、私たちは大手スニーカー企業とも仕事をしていますし、モンゴルでは空気汚染の課題を、ジョージアではワインに関するブロックチェーンの実験をすることになると思っています。こうしたことがお話できるのは、これまで4年間かけてしっかりと土台を作ってきたからだと思っています。

しかし、私だけではこのようなことはできません。カルダノについて関心を持ってくれる方々が支援してくれ、自分たちのプロジェクトをローンチして、そうした人たちがさらに広げてくれるものではないかと考えています。

「名もなき人々」が世界を変える

皆さんは、ノーマン・ボーローグという人物をご存知でしょうか。

先ほど、「あなたの憧れの人は?」という質問を受けた時にその人物をあげたのですが、彼が提唱した穀物の生産法により、10億人の命が救われた、と言われています。一人の人間の功績により、人口の7分の1が救われたのです。しかし、彼の名前を覚えている人は多くありません。

それが、偉大なテクノロジー、偉大な社会のなせる技です。カルダノはこれから、このような段階に踏み出します。

私は、10年後、20年後、カルダノがどのように成長しているのか、本当に楽しみにしています。私たちがこのプリンシプルを持ち続けている限り、それを止めることはできないでしょう。それが、皆さんの個人認証や、お金、ビジネス、全ての仕組みをより簡単にしてくれると思っています。

本日、皆さんにお会いできたことを誇りに思います。本日はありがとうございました。

(ほぼ全訳:Coinparty編集部)

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